平成26年9月13〜14日を利用して、大雨の中、内之浦臨時要塞を訪ねてきました。

自宅からツーリングを兼ねて、2日間の日程でしたので、現地滞在は3時間弱しかなく、他のHP等でも紹介されている遺構程度しか見ることができなかったのは、分かっていたこととは言え残念でした。

この臨時要塞は「臨時」と名が付くように、本土決戦用として終戦末期に築城された要塞でありますが、臨時の言葉のイメージとは裏腹に、かなりしっかりと計画・構築されたようです。

昭和19年に有明作業隊が編成されて、10月には砲台や観測所等の重要施設は完成していたようです。

砲台には数種類の15糎カノン砲が7門配備(計画では8門)配備され、コンクリート使用の半永久築城で穹窖式砲座とし、艦砲射撃や爆撃に耐えるように構築していたようです。

実際に現地に行ってみると、穹窖式砲座は鉄筋ではなく、木材を芯にした木筋コンクリート?造りとなっていました。

鉄道では資材不足を補うため、竹筋コンクリート造りの橋が存在したので、あながち不思議ではないのかもしれません。
(参考文献 八巻聡著「鹿児島県の戦争遺跡本土決戦編@)

設置された主な兵器

名 称  数 量
 96式15糎カノン砲  2門
 45式15糎カノン砲  1門
 7年式15糎カノン砲  4門
 150糎探照灯  1器

(八巻聡著「鹿児島県の戦争遺跡本土決戦編@」より)

45式15糎カノン砲平面図

(佐山二郎共著 日本の大砲より転載)

(ふれあいパークの裏に残る穹窖式砲台)

海蔵地区の遺構群
穹窖砲台
(航空写真A)

国道448号線を南下すると、進行方向右側の山裾に、小さな人工衛星のモニュメントが置かれているトイレ付公園(海蔵ふれあいパーク)があります。

その後部に崩れ、埋没しかけてはいるが穹窖砲台が現存していました。説明板も設置されています。

内部は土砂が流入し、半ば埋もれかけた上に水がたまっており、進入は困難でした。

この砲台だけ、砲台正面部が現存し、敵弾丸破片等から防禦するための跳弾用の段が付けてあるのが確認できます。

また、他の砲台内部は円形天井だが、この砲座だけは四角を基調としているのが特徴であると思います。

あくまでも個人的憶測ですが、備砲数と種類を照らし合わせると、この砲座には45式15糎カノン砲が座っていたのではないかと思っています。

(八巻聡著 鹿児島県の戦争遺跡 本土決戦編@より)

内之浦臨時要塞