平面図を基にグーグルマップで行程確認をしていた際に、道路っ端に怪しげな遺構らしきものが映っていました。よく確認すると、どうやら電燈と補助観測所のようで、事前に場所の確定ができました。

補助観測所は砲台長位置を併設していて、いずれもかなり荒廃しているものの特定するのは容易にできました。補助観測所の測距機は応式のようで石柱3本が見て取れました。

高砲台の補助観測所としての役割だけでなく、27糎カノンの測距と射撃指揮も兼ねているのではないかと思います。

略図では、補助観測所から階段を利用して砲台内部と繋がっているようでしたが、土砂崩壊でさっぱり様子が掴めませんでした。

海岸へ降りる踏み分け道があり下りてみましたが、雄鹿に付きまとわれて早々に退散しました。

電燈は補助観測所から約100m過ぎたところにありますが、道路拡張に削られて気を付けてないと見過ごしてしまうようになっています。

電燈の形態は、他の要塞の電灯と同様の形式ですが、電燈井の壁面はコンクリートで施工されていました。(他の要塞の電灯井の壁面は煉瓦造り)
照明座からの眺めは、風光明媚な瀬戸内の雰囲気が強く感じられました。

次回は室浜砲台へ行ってみたいと思っているところですが、バイクで厳島神社界隈の観光客と鹿の群れの雑踏を抜けるのは些か躊躇してしまいます。
鷹ノ巣低砲台

高砲台を探検ごっこした後は低砲台に行ってみました。

ここは27糎カノン4門と、基筒式の斯加式9糎カノン4門が備砲されていました。
9糎4門と27糎2門は、海岸の浸食により、砲床ごと牡蠣殻で埋め尽くされて異臭を放っている海岸に投げ出されている状態です。

27糎カノンを2門ずつ挟んだところに大きな棲息掩蔽部があったようですが、いまでは被さっていた植栽が剥がれてしまい、外観がよくわかるのは皮肉です。本来ならば地表に頂部だけが現れているはずの通風孔が、風呂屋の煙突の如くそびえ立っていました。

平面図を見ながら探検ごっこをしようと思っていたのですが、遺構が破壊されている上、木々の繁茂で先が見通せないのに加え、野生の鹿の群れがあちこちを闊歩しており、おまけに角を付けた雄鹿がこちらの動向を伺っています。

鹿とトラブルだけはご免被りたいので、そそくさと退散することにしました。

(崩落した砲座、破壊された遺構、丸裸の棲息掩蔽部等)

(道路開削で削られた電燈)

(補助観測所と併設する砲台長位置)

電燈と補助観測所

(鷹ノ巣低砲台平面略図、SK氏より頂戴する)