浄法寺朝美著「日本築城史」(絶版)は一般向けの貴重な書籍ではありますが、ところどころ誤記・誤植や地図の間違いがあり現地調査の場合、注意が必要です。(佐田岬砲台ではエライ目にあいました。)

今回も標高132mの小山に観測所があると記載されていましたが、間違いのようでした。

そんな訳で、移動電燈格納庫についてもあまり期待はしてなかったのですが、海岸方向への遊歩道が続いているので試しに行ってみることにしました。

遊歩道の途中から、低い柵で阻止された向こうに、草ぼうぼうのけもの道が分岐しています。築城史の地図にも一致しそうなのでかき分けて行ってみました。

50mほど分け入ると、草木も途切れ山の斜面をくり抜いて電燈格納庫がありました。

本体は2重壁構造になっており、一見すると弾薬庫のようにも見えますが、敵艦から容易に砲撃を受けるような場所に弾薬庫を造る

はずもありません。車輪の付いた直径150糎の移動式電燈(サーチライト)が格納されていたようです。

カノン砲の射程・方角に合わせて照射できるように移動用交通路が等高線沿いに続いていました。

ここと似た構造の施設が生月島大バエ灯台の地下発電機室に改造して使用されています。

この他にも、兵舎等の木造付属建物を併設してようですが、現状は不明です。

この電燈庫の下段の藪の中に、発電所施設跡があるとのことをKS氏からご教示いただきました。

(移動式電燈格納庫)

道を挟んだ反対側にもう1門の砲座とそれ用の弾薬庫が残っていましたが、整備されておらず通り過ぎてしまいそうです。

(一部私有地(牧草地)がありますので、事前に了解を得るなど、立ち入りには十分注意してください。)

移動電燈格納庫

(道路を挟んだ一番西側の放置された砲座と弾薬庫跡)

生月島大バエ灯台へ行く