吉阪付属砲台から軍道を辿ること約30分、堡塁外の井戸や建物遺構に出くわしました。

冬枯れの割には笹が繁茂しており全体像が掴みにくい状態でした。良く目を凝らしてみると堡塁入口の門の石垣がありました。

早速「日本の要塞」のイラスト図を参考にしながら 堡塁内に入ってみました。

堡塁入口から入るとすぐ面前にぺトン製の砲側庫があります。砲側庫を右回りに迂回するとレンガ製の地下砲側庫が現れます。

地下砲側庫から竹藪を掻き分け、また迂回すると砲座に出くわします。ドッカンガラガラの発射の度に砲車ごと後退する12糎カノン砲が2門1砲座で、掩蔽庫を間に挟んで3砲座6門ありました。

一番南側の砲座には、直径1.5m・深さ1mの程の穴が開いていました。

同様の穴は、佐世保要塞で廃止後に偽砲台となった面高砲台の12糎カノン砲座にもありました。吉阪堡塁は戦時中、高射砲が据えられたとのことです。(または偽砲台か?)
もしかすると高射砲の砲架(または偽砲)の基礎を埋めた跡かもしれません。

吉阪堡塁

(堡塁入口の井戸・家屋跡から堡塁内に入る)

掩蔽庫の入口には銃眼を設けて不測の事態に備えています。

砲座の後ろはスロープになっていて、砲座から取り外して攻城砲としての使用も考えられていたようです。

一番北側の砲座を廻るとコンクリート(ぺトン)製の戦闘指揮所があります。その北方には壕があり臼砲6門や前面の空堀に侵入してきた敵を掃射する機関銃座があったようです。 

登山初めには小雨が降っていましたが、天気も回復し残雪に気をつけながら探検ごっこを楽しみました。

午後からは、レンガ博物館・槇山砲台他へ行ってみます。

(学研「日本の要塞」95pより転載)